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『ドストエフスキーとセザンヌ』 大和希一郎

『ドストエフスキーとセザンヌ』山田幸平・近藤耕人共著(晃洋書房)
珍しい組み合わせの本である。ドスとエフスキーという作家も、セザンヌという
画家も私の好きな人であり、影響を受けた作家であり画家である。
 ひとことで言えば、ドストエフスキーの文学はゆらぎの視線の文学であり、
セザンヌはまたゆらぎの視線の画家だということになるのだろうか?

ヨーロッパの画廊で観たセザンヌの静物画は、宗教画のような静謐な感じを
受けて、ほかのどんな名作画よりも印象に残っている。

ドストエフスキーはいろいろな犯罪を描いたのだが、そのテーマは神・キリストで
あったといえよう。闇の中に浮き出てくる世界観は、あくまでも宗教的なものである。
ドストエフスキーから、宗教的な感銘を受けない人は、この作家の高貴さ、かけがえのなさを
感じない人であろうとおもう。

by pckiichirou | 2017-03-16 20:20